No.12 竹とんぼ  
2000.9.3.掲載 '98年〜実施

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 ここ3年ほど定番の授業になっています。割っただけの竹を生徒に渡して、ナイフで竹とんぼを削ってもらいます。授業では、軸つきで自分で飛ばして滞空時間4秒以上で合格になります。竹とんぼにとっては、4秒は長い時間です。クリアするためには、力学的に合理的なバランスにしなくてはなりません。

竹トンボの作り方

材料

真竹や孟宗竹を6cm〜12cmの長さにノコギリで切り、手頃なはばに割ります。

そのままでは厚く、翼の傾きを出しやすいのですが、初心者には大変時間がかかります。そこで、さらに、ナタやナイフで割り、2〜3mmくらいにします。後で加熱してねじって傾きを出すことにします。

上から見た形(平面形)を作ります。

中心に穴を開けます。

図のようにマジックなどで線を描きます。穴に対して対称に描きましょう。軸付近はなるべく細いほうが、軽く傾きも出しやすくなります。

曲線の部分をナイフで切り落とします。

ナイフに自信のない人は、右図のようにノコギリで数カ所、曲線の所まで切り込みを入れてから、ナイフを使うという手もあります。

   

翼を削りましょう。


おもて(上)側をナイフで斜面に削ります。
   
持ち替えて反対がわも。
   
裏側にして、同様に。
 

ここで、仮に軸を付けて、重さのバランスを見ましょう。重い方を削って重さの偏りがないようにします。

 

火であぶって、翼の傾きをつける

ローソクの火で遠くからあぶって、竹をやわらくし、翼の傾きを大きくします。

まず、中心部付近をあぶって、両方の翼の傾きを全体に大きくします。あぶってやわらかくなったら、下図の点線部分をもって、ねじったまま、ふうふう冷まします。

右のように大きな傾きがつきます。
こんどは翼端に近い部分を加熱して、さっきと逆方向にねじります。翼端だけ傾きを元に戻すわけです。
   

はみだし情報
作り方の図は右利き用です。右利きの人は竹トンボを上から見て、反時計方向に回す方が力が入るようです。逆回り用は図をすべて左右反転して見て下さい。
軸はスーバー等で売っている料理用の竹ぐしを利用すると、簡単です。
伝統的な竹とんぼに比べて、とにかく軽く、重量は軸を含めて2g〜5g程度が人の(手の)体力に合っています。

軽い方が良い?
 手のひらで軸をこすって回すのですから、自然と重さには限度があります。掌の体力との相談ですが、軸を含めて5g以上では、重く感じます。また、同じ重さでも長い方が回転慣性(慣性モーメント)が大きく、回すのが大変です。軽い方が良いのですが、慣性モーメントが小さいと回転が長持ちしません。慣性モーメントは適度に、重量はなるべく軽く、という事になります。

なぜ中心部が細いの?
 慣性モーメントは質量(重量)×長さ(中心からの距離)できまりますから、翼端近くを軽くすると、慣性モーメントが極端に減ります。軸近くは軽くしても慣性モーメントはあまり減りません。また、中心近くはほとんど風を切らないので無駄な部分です。だから、軸近くをなるべく細く薄くすると性能が良くなります。

なぜ翼端の傾きを小さくするの?
 翼の傾きが大きいほど上昇力は大きくなります。ただ、傾きが大きすぎると空気抵抗が極端に増えてブレーキがかかり(失速)、回転が止まります。 翼端に近いほど翼に当たる風の速さが大きく、ぶつかる方向も水平に近いので、傾きを大きくできません。

翼の中心近くの部分では、翼の傾きを大きくしないと、揚力(上昇力)を得られない。 翼端近くの部分では、翼の傾きを大きくできない。

どのくらい飛ぶの?
 この作り方で滞空時間は無風で6秒〜8秒くらい、高さは10m以上飛びます。建物や地形に吹く風、広場などに起こる熱上昇流などを利用できれば、さらに伸びます。

上昇型竹とんぼ
 翼の傾きを大きくすると、上昇力が大きくなり、高速上昇型の竹とんぼになります。高度を伸ばすのに向いています。その分、エネルギーを消耗するので、回転時間は長続きしません。傾きが大きすぎると、翼が失速してすぐに回転が止まる竹とんぼになってしまいます。世界記録を出した竹とんぼは傾きが45°くらいのようです。

滞空型竹とんぼ
 空気抵抗をなるべく小さく、効率良く揚力(上昇力)を得る翼であれば、回転にブレーキがかからず、滞空時間の長い竹とんぼになります。一般的には、翼の原理から言えば、傾きをあまり大きくしないで、翼の幅は細身の方が揚抗比(揚力÷抵抗)が大きく、効率が良いはずです。また、翼の断面形によっても性能が左右されるでしょう。

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