No.41 10円の重さで発電 2006.12.19.掲載

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模型モーターで糸巻きを回しおもりを巻き上げる実験が教科書に載っていることがあります。

逆に、おもりが落ちる時に模型モーターは発電します。右図のように糸巻き直結では回転が遅く、ごく小さな電圧(起電力)しか発生しません。豆電球はもちろん、LEDもなかなか点灯できません。わずかな位置エネルギーや運動エネルギーによって、たとえば10円玉の重みでLEDを点灯できないでしょうか。

右のグラフは太陽電池用モーター(タミヤ500TB)の発電効率を実測したものです。回転数が20Hz以下では発電効率が急速に悪化します。原因は摩擦力、鉄損(コイルの鉄芯の磁化を繰り返すことによる損失)などです。ギアなどにより増速すれば良いわけですが、そうすると摩擦による損失が大きくなります。

また、右上の図のように糸巻きを直結しても、おもりが軽いとモーターは回り出しません。コイルの鉄芯が内部の磁石に吸い付けられるからです。(コギング)

そこで、コイルに鉄芯を用いない発電機を作ってみました。

コアレス発電機

もっとも安価な表示用赤色LEDが連続点灯する場合、出力は約2V×20mA=40mW 程度となります。たとえば10円玉(4.5g)を毎秒20cmの一定の速さで落下させる時、取り出せる出力は最大でも
    0.0045×9.8×0.2=0.00882 [W]
8.8mWですから、LEDを連続点灯させるのは難しいので、間欠点灯式にしました。 

百円均一のメモ止め用磁石からはずしたネオジム磁石を2枚の円盤のふちに合計8個配置しました。無駄にたくさん穴を明けてしまいましたが、鉄板が貼ってある部分に2個づつ磁石があります。ここをコイルが通る時だけ、発電します。

 

右図のように外側に鉄板を貼って磁力線を導きます。このようにすると磁力線の漏れが少なく集中して、すきまに強い磁界が生じます。

 

鉄板は化学室のこわれた三脚のわくを切って使いました。

 

 

コイルは厚みが3mm、直径0.2mmのエナメル線を600回巻きました。このコイルのギャップ(穴)の直径は使った磁石の直径とほぼ同じです。軸受けにはミニ四駆用のボールベアリングを入れてみました。

10円玉の重さで発電!

ミシン用糸巻きボビン(100円均一、一袋9個入り糸付き)を軸に取り付けて、糸に10円玉をつけました。

手をはなすと、次第にスピードが上がり、落下20cmを過ぎた所からLEDが点滅し出し、だんだん明るくなります。10円玉の位置エネルギーが電気エネルギーに変換されるのが一目瞭然です。

小さな小さな風力発電

右はスチロールコップ1個と厚紙で作ったサボニウス風車を取り付け、風力発電機としたもの。乾電池式の小さな扇風機の風でLEDが点灯しました。

市販の小規模風力発電装置の中にはコアレス(無鉄芯)式の発電機が使われているものがあります。その場合、コギングがないので弱い風でも回転を始めます。

低温度差スターリングエンジンで発電

お湯と室温との温度差で回る模型スターリングエンジンの出力はせいぜい数mW程度です。このような微弱な出力でLEDを点灯させるのが、この工作の目的です。

もちろん、間欠点灯だからこそ数十mW必要なLEDが点灯できるわけです。1回転に2回ピカッピカッと光るのですが、見た目は残像のため、より長く点灯しているように感じられます。写真はデジカメで数枚撮影して、たまたまLEDの発光が写っていた1枚です。

回転数2Hzの時の出力電圧を記録してみました。グラフの(+)側で2V程度に電圧が上昇している時にLEDが点灯します。この回転数では(−)時のピークは−1Vくらいなので、LEDを逆向きにすると点灯しません。

pulse

以下は簡易図面です。

 

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