No.68

光テルミンアイコン 電子工作で遊ぶ

  光テルミン

2020年12月掲載



cds

 CdS
 テルミンはシンセサイザー等の電子楽器のルーツである言われますが、ディジタルな楽器ではないのです。手の細かな動きへの反応、高周波うなりで発生する味のある音など、アナログ的な魅力がありました。
 
今回はアナログ時代、昭和の昔から電子工作入門の定番だったCdSセンサーを使います。CdSとは硫化カドミウムのことで、化合物半導体の一種です。受ける光量によって抵抗値が変化します。フォトダイオードに比べて反応時間が遅いけれど、応答する光量変化のはばは広く、反応する波長の帯域もはば広く、そして安価です


光テルミン回路

光テルミン配線
光式テルミン

 ロジックICの74HC00が手元にあったので、NANDによる回路で発振させることにしました。出力はほぼ方形波です。左の回路図の0.1μFとCdsの抵抗値とによる時定数で振動周期が決まるので、CdSの受ける光量を変えると振動数が変化します。
 演奏の時には、低い音が基準になる場合が多いので、音程用のCdSに当たる光が明るいほど高い音になるようにしました。
 もう一つのCdSとトランジスタでイヤホンに流れる電流を制御します。

 手を出さない時に音量ゼロになる方が都合良いので、手で暗くすると音量が増えるようにしました。

 これ以下はない、というような部品点数の少ない回路です。イヤホンまたは圧電スピーカーなどを小さく鳴らせるには、この程度で十分です。


シンプルな光テルミンが完成

 直径2cmのミニスピーカーをつけました。イヤホンや外付けアンプにも接続できるようにミニジャックを設けました。シンプルな回路なのでてのひらサイズのブレッドボードにゆったり配線しています。小さいのでポケットに入れて持ち歩けます。
 音量用CdSは左手前で上向きに取り付けました。音程用CdSは、ブレッドボードの右端からブレッドボードの横を見下ろすように配置しました。

光テルミン  ブレッドボードには台座として裏に白色の発泡プラ板を貼り付け、右側に板を余らせておきます。この部分からの光量をCdSが拾うので、できる影を右手で加減することで、音程を細かくコントロールすることができます。

演奏方法
 左手前の端にある上向きのCdSを陰らせると音が鳴り、覆い隠すほど音量が増えます。右手は写真のようにCdSの前に手のひらを立てて傾きで明るさを加減するとやりやすいです。
 テルミンらしい音程でも音量でも、ビブラートさせることもできます。慣れれば、案外スムーズに演奏できます。
 薄暗い部屋ではVRを調節しないと音量をゼロに出来ないこともあります。また、照明の種類で音色が違います。インバーター式の蛍光灯の照明下では高い変調音のような音が聞こえたりします。自然光か懐中電灯のもとで高めの音程を出すとき、最も澄んだ音に感じます。
   

star  音程、音量の両方をCdSでコントロールする方式のものは見かけません。テルミンと同様な演奏ができる最もシンプルな方法だと思っています。

starまだ改良中ですが、超音波テルミンの報告はこちらです。

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