No.7 綿火薬温度計
99.3.22.掲載 '95年〜実施 化学+物理・熱

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綿火薬とは
硝化綿とも呼ばれます。手品で、紙がススも煙も出さずに一瞬にして燃え尽きる、あれです。実体は「ニトロセルロース」です。紙や綿の繊維「セルロース」を材料に化学変化によって作ります。

右の写真の左は普通の脱脂綿、右は脱脂綿から作った綿火薬です。見た目で区別はつきません。

綿火薬の作り方

@ビーカーで濃硝酸と濃硫酸を1:3の体積比で混合して混酸を作る。発熱するので流水などで冷却する。
A脱脂綿を混酸に沈めて、放置する。
B脱脂綿を取り出して、水道水で十分に水洗いをし、乾燥する。

おまけ情報 
混酸の温度が上がると、二酸化窒素を出て脱脂綿が溶けてしまいます。
最低1時間は混酸に浸けるようにしています。1日、2日置いても大丈夫。
試験管乾燥機やドライヤーで乾燥させようとすると、発火してしまいます。自然乾燥が一番です。

テスト
ひとつまみ取り、火をつけると、一瞬で燃え尽き、固形物は何も残りません。乾燥が不充分だと、燃焼に時間がかかったり、ススなどの燃え残りが生じます。
燃えるとき、硝酸臭があったり、茶色の気体が出るようなら、水洗いが不充分です。

自己反応性と発火点

綿火薬(ニトロセルロース)は自己反応性の物質なので、まわりに酸素などがなくても、発火点に達すると爆発的に反応します。そこで、綿火薬をひとつまみ丸めて、アルミホイルで包み、空気を遮断して加熱します。ついでに、おおよその発火点も調べようという実験です。
マッチは300℃程度で発火するので、比較のために並べます。
100℃前後で綿火薬が発火し、ずいぶん後でマッチが発火します。

おまけ情報
どちらの包みも発火した時の発生ガスで、飛び出します。数十センチ飛び上がる場合もあります。いくらギューギューに包んでも、薄いアルミなので、爆発はしません。ただし、アルミホイルは3cm角ていどに切っておいて、生徒に配る事をお薦めします。
温度計は200度計や300度計を使いましょう。温度計なしでも、銅板に一滴水をたらしておけば、発火点の察しはつきます。
発火後、包みを拾って広げてみると、何も残っていません。マッチの方は棒の炭が残ります。

綿火薬を使って熱の伝わり方

発火点が分かれば、温度計として使えます。綿火薬は百数十度、マッチは約3百度の温度を判断できます。ずいぶんと大雑把な温度計ですが、派手な温度計です。
レフランプや舞台照明用の電球を綿火薬に近づけます。白い綿火薬はなかなか発火しませんが、シャープ芯のかけらを綿火薬の上に置いておくと、数秒〜数十秒で発火します。炭のかけらや粉を置いても、マジックで黒い点を描いてもOK。
写真は、熱の伝導の速さ、熱伝導率の実験です。同じ太さの銅線と鉄線をよじります。先っぽを曲げて、綿火薬をくわえさせます。よじった部分をガスバーナーで加熱します。2mm径で長さ10cmなら10秒程度で銅の方の綿火薬が発火します。

ガラス棒を加えて三又にしてもやれます。ロウを使うより、アピールします。

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